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IT担当部門が描くテレワークの道筋【バックオフィス特集04社内IT部門編】

medibaがテレワークを導入して1年。その継続の裏側にあったのはバックオフィス各部門の試行錯誤でした。

「導入時の課題は? 定着させるまでに何を? 今後の取り組みは?」

そんなテレワークへの移行プロセスとこれからを掘り下げる連載企画「バックオフィス特集」。これまでの記事はこちら。

シリーズ最後となる第4回は、テレワークの屋台骨、社内IT担当部門。世の中へパンデミックの問題が日本でも本格化する少し前からテレワークを導入し、速やかに移行できたのはどのような背景があったのでしょうか。テレワーク導入から約一年半が経ち見えてきた、これから目指す“働くためのインフラ整備”について、社内IT担当の東野に話を聞きました。


クラウド化、SaaS化を少しずつ進めていたことが功を奏した

medibaが、テレワークを全面的に導入したのは2020年3月3日です(政府が東京に緊急事態宣言を出したのは、2020年4月7日)。このように緊急事態宣言が出される前、速やかにテレワークへ移行できました。

実はこのテレワーク導入の素地は、2019年初旬medibaが事務所を渋谷から六本木に移した時から始まります。それまでは自社にサーバールームを置く「オンプレミス」で、情報保管を全て社内で行うことがスタンダードでした。

medibaはオフィスの引っ越しをきっかけにオンプレミス環境から全面的なクラウド化、SaaS*化を進める方向へシフトしたため結果テレワークの導入時に役に立ちました。

もちろん今でも自社にサーバールームがある会社も従来通りあります。ただ、medibaでは柔軟性とスピード感を求められるシーンが多いことや、サーバーを拡張する際の費用負担、社内に大きなスペースを占めてしまうことなどの懸念からクラウド上で管理できるようにしました。結果的には急なテレワーク環境が求められた状況にぴったりマッチしたという感じです。

もともと2020年は東京五輪も予定されていたことから、政府としてもテレワークを推進していたこともあり、おそらく多くの会社でも少しずつ検討をはじめている段階だったのではないかとも思います。

* SaaS…Software as a Serviceの略。インターネット上で提供・利用が完結するサービス形態のこと。

予行練習ほぼなしの即本番

とはいえ、急なタイミングで実装していかなくてはいけなくなったので、少し大変ではありました。クラウド化へのベースはある程度整っていたものの、例えばシンクライアントという、社内と同じPC環境で業務が可能となる仮想デスクトップの仕組みは2020年2月の時点で、同時にログインできるキャパシティが10名ほどでした。この時期は、まだテレワークを制度として導入するためのトライアルに合わせたキャパシティを、確保していただけだったんです。

でもこれを急ピッチで拡大しなければならない。すでに、サーバー自体はクラウド環境へ移行していたので、作業としてはキャパシティを拡大するだけではあったのですが、どの規模が最適なのか、需給のバランスを予測するのがとても難しかったです。会社としてもセキュリティを担保できるシンクライアント経由の業務を推奨していたものの、局所的に一度に多くの人がログインすると動きが重くなったりログインできないケースなども発生し、初期は不便さを感じていた人も多かったのではないかと思います。今では適切な人数規模を把握できているので問題は発生しにくくなりました。

また、会社支給のPCも従来とは違う対応が必要です。セキュリティ強化の観点ではEDR **や、多要素認証***を導入しました。会社支給のPCを使うことで、シンクライアントを使わなくてもいい状況を増やせるのでシンクライアントへの負荷も下がります。もちろん、テレワーク下で自宅PCを使用する社員は業務によってシンクライアント経由がマストになりますが、分散させることでよりスムーズな環境づくりができたと思います。

そのほかにも、自宅にインターネット回線が無い人向けにWi-Fiルータの貸し出しなどを行い、まずはなんとか自宅で業務が行える最低限の環境を整備しました。

** EDR…Endpoint Detection and Responseの略。コンピュータ上のエンドポイントの監視を強化するために構築されたセキュリティーのソリューションのこと。

*** 多要素認証…PCやサーバーへアクセスする時やクラウドサービスへのログイン時などに、2つ以上の"要素"によって行う認証のこと                                              

テレワーク実装後の対応に奔走

基本的には誰もが自宅で業務をする初心者だったので、不安や疑問点が生じるのは当たり前だと思います。ですので、まずは自宅での業務を行う際の1日のモデルケースを作って共有したり、FAQをまとめてリスト化したりちょっとしたTIPSを定期的に配信したりしました。それでもやはり開始直後の問い合わせは増え、Slackで問い合わせに対応するのもなかなか大変でしたが、数ヶ月経過した頃には落ち着いてきました。こちらでまとめたFAQも内容が充実してきていたので、見てくれる人が増えたこともあると思います。やはり、自分が疑問に思うことは、別の誰かも困っていたりすることも往々にしてありますよね。

TIPS配信は継続中

もともとは、部門のKPIとして設定していたのですが、目標を追う期間が終わった今も担当しているメンバーが自主的に配信してくれています。

テレワークがある程度軌道に乗っている今、部門としては業務改善に力を入れています。昨年は自分たちもテレワーク初心者だったこともあり、どうしても内に目が向きがちでした。でも、少しずつ慣れてきて、今度は他部署の業務改善に寄与したいと考えています。

視点を切り替えてから取り組んだ改善策の中でも、特に喜んでもらえた声が多かったのは、業務対応依頼をSlackに移行したことです。medibaではシステム部門への業務を依頼する時に、別のクラウドソフトを利用して申請をあげなければならないフローになっていました。しかし、そこを業務上日々使用しているSlackで完結できるようにシステムを組みました。ワンストップで作業が済むので、利便性は格段にアップしたと思います。

今後求められるようになることは

medibaは生産性を重視した新しいハイブリッド型の働き方を導入しました。

このハイブリッド型の働き方は、基本的には業務の状況に合わせて最も生産性が高いもの(リアル/リモート)を選ぶというものです。今後オフィス面積も多少縮小する予定です。そうなると、どこでも、どちらを選んでも変わらず仕事ができることがとても重要になってくると思います。

オフィス出勤していても、テレワークをしているメンバーとオンラインでミーティングをすることも当たり前になります。そうなると、オンラインミーティングをオフィスで快適に行える環境の整備もまた必要です。明らかに、以前とは求められてくることが変わってきていると感じています。

また、同時にこれはテレワークがスタンダードになることも意味していて、まさに“PCの中がオフィスとなる”ということです。今までは、オフィス自体が従業員にとってどう快適か?ということが求められていました。今後はPCという名の仮想オフィスの充実も重要なポイントになり得ると思っています。PCのオフィス化に伴い、働く場所(リアル/リモート)によって働きやすさが偏るのではなく、どちらでも快適に仕事ができる環境を整えるために、例えば、PCも社員にストレスのかからないレベルのものを準備して行けたらと思っています。


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