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【ホンレコ!】8冊目『極夜行』

mediba社員が実際に本を読んで得た“学び・気づき・感動”を、自分と同じく求めているであろう方たちへお届け。本のレコメンド、略して『ホンレコ!』。

8冊目のレコメンダーは、コロナ情勢下で社内調整業務に奮闘する総務部の下向です。彼女が選んだ本は探検記。想像絶する過酷な状況を乗り越え、果てに見る神秘の世界。外出自粛が叫ばれるいまだからこそ、読書で“極夜”にトリップしてみてはいかがでしょう。


本日のおすすめ図書

『 極夜行 』
(著) 角幡唯介
文藝春秋

こんなあなたに

  • 未知の世界に興味がある

  • 登山家や冒険家の本を読むのが好き

  • とにかく現実を忘れてトリップしたい

レコメンダー
総務部 下向

どんな本?

4ヶ月間太陽が昇らない冬の北極、極夜。その極夜を、ノンフィクション作家で探検家である角幡唯介氏が1頭の犬を相棒に命がけで旅をする探検記です。2018年のYahoo!ニュース 本屋大賞ノンフィクション本大賞と第45回大佛次郎賞を受賞した作品です。

ここがポイント!

 想像を絶する世界への挑戦

「極夜の世界に行けば、真の闇を経験し、本物の太陽を見られるのではないか」

北極圏の、しかも終日太陽が昇らない極夜という過酷な環境をあえて選び、GPSを使わずに星を天測しながら1頭の犬と一緒に橇で旅をするという、常人は決してやろうと思わない、やろうという考えすら浮かばないと思うこの挑戦を、映画さながらに追体験することができます。次から次へと想定外の出来事が起こりますが、筆者がそれをどう受け止めどう対処してゆくのかも見所です。

犬との関係

ここで描かれるパートナーである犬との関係は、私たちが知っているものとは全く別の、はるかに濃厚で原始的なものでした。

「欺瞞のない、むき出しの生と死のモラルによって築かれていた」

家族(ペット)としての関係性しか知らない私たちにとっては衝撃の描写もあると思います。しかし、これは北極圏で暮らす人々にとっては当たり前であり、生きてゆくための日常であること、そして、それがたった今も継続している世界があることを感じさせられました。

哲学的洞察

単なる過酷な環境に挑戦する探検記では収まらない、哲学的で思慮深い洞察も本書の見所のひとつだと思います。笑いを誘う部分があるかと思ったら内面に深く潜ってゆく部分もあり、筆者の人間としての魅力を感じずにはいられません。

まとめ

世俗的なエピソードや下ネタなどもあり、また、くだけた表現と堅い表現とが入り混じっているので、好みが別れるかもしれません。しかし、読み進めていくうちにそれが気にならないほど極夜世界に没頭することができました。筆者は別の場で、「これ以上、探検的な旅はもうできないと思います。それくらいカオスな世界です。」と仰っていたのですが、まさに、壮絶で最悪で神秘的で根源的で美しいカオスな世界でした。筆者はそんなカオスな世界になぜ飛び込んでいったのか、そして、旅の最後に何を感じ何を思ったのか……。中盤以降の展開は圧巻です‼︎ ぜひ手にとってご確認ください。

おまけ

※少し古いですが、こちらのサイトで極夜行の情報を得ることができます。写真の美しさも必見です。

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