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【ホンレコ!】20冊目『ブルーピリオド』

mediba社員が実際に本を読んで得た“学び・気づき・感動”を、自分と同じく求めているであろう方たちへお届け。本のレコメンド、略して『ホンレコ!』。 

20冊目のレコメンダーは、初回以来2度目の登場となる編集グループの原田。21年1月よりKDDIに兼務出向し、mediba・KDDIの両側から5G事業を推進中。そんな原田は大の漫画好きでもあります。今回は満を持して、本人イチオシの漫画をセレクトしてきました。 

初回の記事はこちら 

※本記事では漫画紹介サイト『アル』の「使えるコマ」サービスを活用いたします。 


本日のおすすめ図書 

『ブルーピリオド』 
(著者)山口つばさ 
(出版社)講談社

こんなあなたに 

  • 熱くなりたい 

  • ものづくりを仕事にしている 

  • 隠れた名作を知りたい 

レコメンダー 
編集2グループ 原田貴仁

どんな本?

成績優秀、でもちょっとヤンキー気味でチャラ男の主人公・矢口八虎(やぐち やとら)が美術に魅せられ、東大より入るのが難しいとも言われる東京藝術大学(以下、藝大)合格を目指すというストーリー。既刊10巻で、現在も月刊アフタヌーン誌で連載中。マンガ大賞2020、第44回講談社漫画賞を受賞したほか、2021年10月にはアニメ化も控える。

ここがポイント!

クリエイティブを解き放つことばたち

『ブルーピリオド』は、美術を学ぶ過程でのさまざまな喜びだけでなく、挫折や苦悩を挟み込んだストーリーも非常に素晴らしいです。ただ今回は、芸術をテーマにした物語ならではの、“ものづくり”を仕事にする人にも刺さる言葉を紹介したいと思います。 

まずは主人公・八虎の先輩である森の言葉たちから。

あなたが青く見えるなら  りんごもうさぎの体も青くていいんだよ 

森の、人間を緑色で描いた作品の前での会話中、自分には早朝の渋谷の街が青く見えるんだと言う八虎に、「私はそれに共感はできないけど…」と申し添えてから言うひと言です。 

「これが芸術なんだ」と読者ともども納得させてくれる名台詞だと思います。あなたが思うままに表現していいんだと主人公の背中を押す言葉は、物書きの端くれである私にとっても大事な言葉になりました。 

才能なんかないよ 
絵のこと考えてる時間が他の人より多いだけ

これも同じく森の言葉。時系列は「あなたが青く見えるなら…」よりも少し前ですが、同じ話の流れで生まれたセリフです。森が人を緑で描く理由を説明したあとの「先輩はスゴイ。才能あって羨ましい」に対して、彼女が目も合わせずに返した言葉です。 

美術にはたくさんの技法やそれをものにするための修練がある。森自身の途方も無い学びと試行の繰り返しの果ての「緑」の選択を、才能のひと言で片付けないで欲しいという拒絶の言葉でもあります。 

これは、彼女が美術を愛し追求しているからこそ、そしてそのさきにある「本当の才能の世界」も知っているからこそ出てきた言葉です。深い。 

努力すれば上手くなる 

前述の森の言葉にもあるように、美術には長い歴史のなかで構築された理論や技法が山のようにあり、それを習得するためには圧倒的な努力が必要なんだと作中で何度も言ってきます。 

そして「努力を才能で超えてくるものたち」に対してもまた、さらなる研鑽で戦い続けることができると、教えてくれるんです。 

トライ&エラー トライ&エラー トライ&エラー! 頑張り! ましょう!

予備校講師、大葉の言葉。学内の公開コンクールで八虎が上位に入った理由、それは少ない武器を効果的に使えたから。武器は多いにこしたことはないけれど、少ないならその分磨き上げて勝負できる、でもそのためにはトライ&エラーが必要なんだと伝えます。 

これ、わかります。「ここでこれを使う」という判断も、使い込まないとわからないものなんですよね。 

あ〜〜〜〜〜〜 
くそ…! 
俺がもっと上手かったら表現できたのに 

これは藝大入学後のセリフ(だったはず)。課題に対してよいテーマやアイデアを思いついた八虎が、自らのスキルの未熟さを嘆くセリフです。 

これも、とても共感します。自分も執筆においてはしばしばこの体験をします。おもしろい題材やコメントをもらっても、それを表現しきれなかったり伝えきれなかったりすることはままあります。 

だったら 
天才と見分けがつかなくなるまで 
やればいい 
それだけだ 

作中で天才として描かれる世田介の絵(右)とくらべてあまりにも凡庸な自分の絵(左)。この絵を見た瞬間の「無音の絶叫が俺の中に響いた」というモノローグもかなり痺れる表現です。 

ですが、そんな残酷な現実から立ち上がるときのこの言葉は、自分にとっても、すべてのクリエイティブ職のメンバーにとってもつねに心に持っておきたいものだと思います。 

初めての石膏像デッサンでここにたどり着く天才(世田介)と自分(八虎)は違う。描いた分しか上手くならない。でも、「なら描きまくるだけだ」とふっきる姿はいかにも漫画的ですが、胸熱です。 

まとめ

若干知る人ぞ知るみたいな漫画ですが、多くの賞も獲っており、本当に名作だと思います。ものづくりに携わる人にとってのあるあるが、よい部分も悪い部分もたくさん詰まっているので、個人的にはホンレコ第12回の『左ききのエレン』と並んでmedibaクリエイティブ職の課題図書にしたいくらいです。ぜひご一読ください。

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