エンジニア志望がUI/UXを探求したら、「All for User」にたどり着いた!
mediba新入社員の楊嘉奇です。
エンジニアとして入社し、研修中色々な職能について学びましたが、今回は研修の中で印象的だった「UI」「UX」について調べたことをお伝えします。
「戻るボタン」はどこ?
私が初めてユーザーインタフェース(以下UI)の存在に気づいたのは、祖母にiPhoneの使い方を教えたときでした。
祖母は私に「左下に「戻る」ボタンがない」と聞いてきたのです。iPhoneのUIに慣れている私と、使ったことがない祖母。同じものを使ってもそれぞれ異なるユーザーエクスペリエンス(以下UX)を感じたことに驚き、以降UI/UXに興味を持つようになりました。
UIデザインする人―― UIデザイナー(UID)
medibaにおけるUIデザイナーとは、提供するプロダクトのユーザ接点での課題の発見、解決に責任を持ってUI設計を行う職です。では、具体的にUIデザインをするときの第一歩とは何でしょう?
この疑問をぶつけてみたのが、新卒5年目のUIデザイナー渡邉 圭貴さんです。
「初めの一歩に僕がオススメするのは『いつも使っているアプリの使い勝手にケチをつけてみること』です。ケチをつけるためには、そこにあるUIパーツをひとつひとつ観察しなければならず、いちユーザとして実際の使い勝手を検証しなければなりません」
渡邉さんは開発者なのに、なぜ初めからユーザー視点で見るのか。それはこのような3つの思考プロセスがあるからだそうです。
UIデザインはユーザーと直接交流する場と考えている
デザインでUX向上することを目指している
UX向上するためには、ユーザーの本音を知る必要がある
でも、プロダクトは多種多様。そしてユーザーも十人十色。そのなかでどうやってユーザーの本音を知ればいいのでしょうか。
ユーザーの本音を知る――UXリサーチ「ユーザーテスト」
ゴールを実現するためには「ユーザーたちが実際にどのようにシステムを扱うか」という生の声を聴く必要があります。プロトタイプをつくり出し、ユーザーテスト(以下、UT)を行ってみると自分の予想と異なってきた結果でもでてくるはずです。
この疑問について、渡邉さんからはこんな答えをもらいました。
「auスマートパスの初期の頃にユーザーテストを実施しました。ゴールは沢山のクーポンをザッピングさせて気に入る特典に出会わせること。しかしユーザーは『普段使いのクーポンを探し当てて離脱』という行動を取り、我々が期待するザッピングには至りませんでした。
つまり、現UIのページ構成をそのまま引き継ぎ、配置を変えただけの改修ではユーザーの行動を変えられなかったのです」
ユーザーの行動を予測、変えることは確かに難しいです。だからこそ、ユーザーと交流する機会をつくり、ユーザーの行動を把握した上で、適切な対策を取る必要があるのです。
本音からニーズ(欲求)を掘り出す
よりユーザーの行動を把握するには、彼らのニーズを掘り出さなければならない。
ではどうやってユーザーニーズを知ればいいのでしょうか。
じつはユーザーの多くは「自分のニーズがわかっていない」し、「ニーズを明確に語ることが難しい」といったことがよくあります。
例えば、人が出かけるときのことを考えてみましょう。
車が発明される前→「足の早い馬をくれ」
車が発明された後→「車をくれ」
こんな答えが返ってくるはずです。でも本当のニーズは、「便利に早めに目的地に着くこと」なんです。
つまり、ユーザーは本当のニーズではなく、表層を見て要求してきます。深いところにあるニーズを掘り出さないと、より早く目的地に着ける車を発明するよりも、足の早い馬を育成し続けることになります。
そこでまた生まれた新たな疑問は「どうやってユーザのニーズを掘り出せばいいのか」ということです。
そこで考えたのは、マズローの「自己実現理論」の欲求5階段説を使うこと。ユーザーからの言葉が、上の図のどの階段に当てはまるかを考えることで、実際のニーズを掘り出すことができます。
私の母がマスク(顔のスキンケア用フェイスマスク)を買う時によく気にするキーワードは「美白」、「保水」などです。私から見るとすべてのキーワードはある欲求を表しているように感じられましたが、その単語自体は欲求ではありません。
つまり、本当の欲求は「綺麗になって社会からのいい評価をもらう」、即ち「承認欲求」にあたります。ゆっくり、順序よく考えていくことでわかってきた気がします。
For All User?
最後に、渡邉さんにお話を聞くなかでいちばん印象に残った言葉を皆さんにも共有します。
「万人の口に合う料理がないようにきっと万人の期待に沿うUIも存在しなくて、尖った部分を削るたびに白米ご飯のような質素なUIになっていきます。でも、課題を掘り下げると『ユーザの範囲を広げたい!』というオーダーにも『どんなユーザーを獲得していきたいか』というターゲットが存在するはずで、ここにどうスパイスを加えるかがデザイナーの技量だと思います」
モノづくりで「For All User」と考えて、すべての人の期待に応えることは難しいですよね。これからエンジニアとして仕事をする私は、ユーザの立場に立ってつくる、ユーザの声を聞いて改善していく、「All for User」の言葉を胸に頑張っていきたいと思います。
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