課題と向き合い続けテレワークを実現した人事の1年を紐解く【バックオフィス特集03人事編】
medibaがテレワークを導入して1年。その継続の裏側にあったのはバックオフィス各部門の試行錯誤でした。
「導入時の課題は? 定着させるまでに何を? 今後の取り組みは?」
そんなテレワークへの移行プロセスとこれからを掘り下げる連載企画「バックオフィス特集」。
これまでの記事はこちら。
第3回は、会社の“人”に関わる業務全般を司る人事部。社員とのコミュニケーション量が多く、テレワークで苦戦する職種の一つとして名前の挙がる「人事」ですが、どのように工夫し、取り組んできたのでしょうか。
medibaの人事部は大きく分けて「労務」と「採用」の2グループ。
今回は、給与労務グループGLの小林 孝行(こばやし たかゆき)とHRビジネスパートナーグループGLの高橋 恭平(たかはし きょうへい)に聞いた、人事のテレワークの取り組みをお届けします。
<労務編>
「紙」を廃止。全体的なオンライン化の推進へ
経理の回でもあったように、労務もポイントとなるのが「紙」の廃止でした。テレワークを前提として働くために、まずはペーパーレス化の推進から始まりました。
対面で対応することが当たり前の中では、ペーパーレス化へのハードルを自然に高く見積もっている部分があり、コストもかかるだろう想定していました。
でも、いざやってみるとそこまでコストもかからず、思ったよりもハードルが高いものではありませんでした。心のハードルが勝手に高くなっていたんですね。チャレンジしてみて良かったと思っています。
また、オンライン化したことで社員から「使いやすくなった!」とポジティブな意見があがったのはとても嬉しいですね。
「見てくれる人にわかりやすい情報を届ける工夫」をする
オフィスに出勤しなくなった今、社員が人事に聞きたいことをすぐに聞きづらくなりました。
こうした状況は、ストレスや不安に繋がります。そこで労務グループでは人事関連の情報をコンフル※に集約し、“情報の見える化”に力を入れました。
※コンフル……Atlassian社が提供するツール「Confluence」の略。情報を集約し共同作業するためのワークスペースとしてmedibaでも導入している。
情報をまとめる上で意識したことは「見てくれる人にわかりやすい情報を届ける工夫」です。
今まで一律発信で会社全体に届けていた情報を、コンフルにまとめることで欲しい人が欲しいタイミングで探しに来られるようになります。需要にマッチした情報をストレスなく見つけられるよう、まとめるべき情報やその内容の取捨選択、情報の置き場所、まとめかたなど、グループ内でアイデアを出し合いながら徹底的に考えました。
以前よりも問い合わせ件数は減り、社員の自立化が進んでいることを感じます。
しかし、その分社員との「雑談」(による情報収集)が減ってしまったので、コミュニケーション機会を積極的に工夫して作っていきたいと思っています。
産業医面談は月に2回 相談の機会を
テレワーク移行後半年くらいから体調不良で休む社員が増えてきました。コロナ禍の不安に加え、人とのコミュニケーションの減少などから、ストレスを抱える社員も増えているようでした。このような問題は、世界的に広がっていると思いますが、medibaも例外ではありませんでした。
medibaでは月に1回産業医面談の機会を設けているのですが、こうした状況を踏まえ、今では月2回に増やしています。
もちろん、産業医面談の回数を増やすことが根本的解決になるわけではありません。しかし、相談の機会を提供することで救われる人もいるのではないかと思っています。
最近では、上司が部下に産業医面談を勧めるといったケースもあるようです。
直接会う機会が減った今、日頃からチーム間でお互いの体調を把握することが難しくなっていると思うので、こういった社内制度はみなさん積極的に活用していただけたらと思います。
テレワークの導入で、新しい働き方に慣れるまで苦労しましたが、今まで常識と思っていたことを改めて考え直すきっかけになりましたね。
課題を見つけては一つひとつ紐解き、どのように対策したらテレワークが実現できるか。
日々課題はありますが、常識を疑いながら課題と向き合い“寄り添う人事”として試行錯誤していきたいと思います。
<採用編>
オンライン面接で採用活動の幅の広がりへ
テレワークを機にmedibaではオンライン面接・面談へシフトしました。
最初は、対面との違いに戸惑い応募者とうまくコミュニケーションを取れない社員が多いではないか?という心配があったのですが、そこは全く問題なかったですね。むしろ、社員のみなさんが上手く引っ張ってくれていて非常に頼もしいです。
面接や面談をオンラインにしたことで、場所を選ばず会話ができるようになり、様々な地域からmedibaに興味を持ってくれる人が増え、採用活動の幅の広がりを感じています。
最近では、「オフィスが見たい」という要望が多くなったので、社内の雰囲気がわかるように会社ツアーの動画を作って共有しています。
オンライン化が進む今、情報の開示が入社者の心の安心に繋がると思っています。不安を取り除いてもらうためにも、入社前後のギャップをなるべく小さくし、痒い所に手が届くようなサポートを心掛けていきたいと思っています。
採用活動に必須 現場部門との連携の鍵は「共に活動する時間」
採用活動は人事と現場の連携によって初めて成り立つものです。しかし、顔を合わせて話す機会が少なくなったことで、その連携の難しさに課題感を覚えるようになりました。これは現場のメンバーと一致していたこともあり、今では各パートで週30分、一緒に採用活動を行う時間を設けています。
この時間で候補者を探したり、ダイレクトリクルーティングを行ったりなど、一緒に採用活動を進めていくことで以前よりも密度の高い会話ができ、手応えを感じています。
現場との連携が強化したことで採用パート毎の異なる課題が浮き彫りになり、現在ではそれぞれに合った対応策の検討が課題となっています。結果が出ているパートの取り組みを参考に、PDCAを回しながら試行錯誤していきたいと思います。
入社手続の紙撤廃を実現
すべて紙で対応していた入社書類ですが、テレワークに移行してからしばらくの間も、内定者の自宅に郵送し、記入した書類を返送してもらっていました。しかし、採用作業のペーパーレス化促進の背景や、内定者がコロナ禍でポストに投函しに行くこと自体の感染リスクを考慮し、入社書類を紙以外で実現する方法を模索しました。
本人が記載しているという証明がなければならないのでは?といった法律的な課題に対する懸念がありましたが、結果的には一部の書類をの除き大半の入社書類に必要な項目を記載したExcelを埋めてもらい、初回の出社タイミングで印鑑だけをもらうという形で実現することができました。
テレワークでなければ、これほど単純な方法で、内定者や人事担当の負担が大幅に軽減できる方法に辿り着けなかったと思うので非常に新鮮な体験です。
社員とのコミュニケーションや内定者のケアなど……、物理的に会えないことの弊害はまだまだたくさんありますが、対面できないからこその工夫の中で見つけた可能性は計り知れません。
今後も課題に前向きに向き合うという姿勢は怠らず、多くの人へmedibaの魅力を届け続けていきたいと思っています。
ポイントは具体的な課題抽出と向き合い方
小林さん、高橋さん、ありがとうございました。
テレワークが難しいと言われている人事ですが、お二人の話を聞く中で出てきたポイントは「具体的に課題を抽出し、ひとつひとつ徹底的に向き合っていく」ことです。
課題に対して悲観的にならず、常に前向きに捉えている様子が印象的でした。
できないことよりも「どうしたら実現可能か」に焦点を当て、徹底的に考え抜くことが解決の秘訣ですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。あなたの「スキ」がmediba+編集部の励みになります!