出向で感じるやりがいと成長。KDDIへの出向社員に話を聞いてみた
みなさんは「出向」という制度について詳しく知っていますか?
出向とは、“今の会社に在籍しながら別企業に異動して働くこと”を指し、グループ企業間で行われます。言葉の意味はわかっていても、経験のない身からすると実際にどんな働き方をしているのか、気になりますよね。
また、一般的に出向は親会社から子会社へのものを指すことが多いですが、medibaではこちらからKDDIへの出向が行われています。
そこで今回はmedibaの出向について解説。現在出向している社員の話を聞きながら、その実状に迫ります!
まずは出向制度の概要を知ろう
medibaにおける出向の目的は「mediba事業シナジー創出」。つまりmedibaと出向先企業、両者にとって利益となるような場合に実施されます。
※シナジーとは…事業間の相乗効果のこと [参考] シナジー/アナジー | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)
人選は、2社の諸条件が揃った社員を指名したり該当部署から募集をかけたりして決定します。行き先はおもに親会社であるKDDI。現在は全員の出向先がKDDIとなっています。
出向には大きく分けて2パターンあり、ひとつはKDDIの業務だけを行う100%出向で、もうひとつはmedibaでの業務も継続して行う兼務出向。この2つは制度的にも違いがあります。
任期や勤務時間に違いはあるものの、給与・賞与、休暇制度、福利厚生に関しては100%出向者も兼務出向者もmediba制度がそのまま適用されていますね。
現在の出向者は全部で9名(2022年3月29日現在)。100%出向者と兼務出向者の割合は以下の通りです。
兼務出向者のほうが多いですね。なお、現在はKDDIもmedibaもテレワークが導入されているため、兼務であっても会社を行き来する場面は少なくなっているという背景も。新しい働き方の波は出向社員にももちろん届いています。
実際はどんな感じ?出向社員に直接話を聞いてみました
概要がわかったところで、気になってくるのは実際に出向している人の声ですよね。今回は、100%出向と兼務出向、それぞれの社員にインタビュー。出向ならではの大変さや自身の思いなどを聞いてみました。
新卒3年目で出向。得られた“会社目線”での考え方
2016年medibaに新卒入社。入社後は『au Webポータル』で広告商材を扱うディレクター業務を担当しながらオフィス移転プロジェクトにも参画するなど幅広く活躍。2019年にKDDIへ100%出向となり、現在は宣伝部にて広告制作を担当。
――現在は、どんなお仕事をされていますか?
宣伝部のメディア・クリエイティブ企画室というところにいます。部の役割は、統合的なコミュニケーションを通してお客様との接点を作り、au・UQ mobile・povoといった各ブランドの価値の浸透を目指すことです。
その中で、私はおもにau経済圏にあるサービス(au PAYなど)の広告物の制作領域を担っています。広告物はTVCMや屋外広告などのマスからデジタルまで、幅広く扱っていますね。
「三太郎」や「意識高すぎ!高杉くん」などのお馴染みのキャラクターを用いて、広告代理店を始めとするパートナー企業と一緒にお客様に親しみを持ってもらえるようなコミュニケーションを日々考えています。
出向が決まったのはまだ新卒3年目のときでした。当時宣伝部の前身だった部署に出向していた先輩がmedibaに帰任されて、その代わりとなる人を募集していたんです。そこで、自分から手を挙げました。
元々入社してからはずっと広告関連の仕事をしていて。今後もこの仕事をやっていきたいと思っていたところに、KDDIという大会社で経験できるチャンスが舞い込んできた。迷いはなかったですね。
――まだ3年目のときだったんですね! そこから100%出向となって、何か大変なことはありましたか?
ほとんど転職のようなものなので、やはりまったく違う組織で1から信頼関係を築くのは大変でしたね。
KDDIは大きい組織なので、社内にはどんな人がいるのか、どこの部署が何をしているのかを把握するのも一苦労で……。最初はわからないことを誰に聞いたら良いのかもわからない、といった状態でした。
出社していた頃のmedibaでは、ワンフロアのオフィスでどこに誰がいるかわかるから、歩き回れば解決できていたんです。なので、そのギャップには戸惑いましたね。
でもひとつひとつの仕事に丁寧に向き合って、目の前の人と信頼関係を作ることで自然と人脈は広がっていったので、だんだんと不安もなくなっていきました。組織的な変化はあったものの、常にやるべきことは同じだなと思っています。
――テレワーク環境で入社した人にも通ずる話かもしれないですね。そのほかにmedibaとのギャップはありましたか?
大きく違ったのは、仕事の進め方ですかね。
たとえば自分から何かを提案するとき、medibaでは直属の上長に相談すれば比較的スムーズに実行まで進められていたのですが、KDDIだと決裁金額が大きい分、確認や承認のステップを多く踏むことになります。
そうなると必然的に時間はかかります。ただ、だからと言って時間の余裕があるわけではないので、先を見据えてスケジュールを段取り、一回の説明をいかに簡潔にわかりやすく説明するか、をよく考えるようになりました。規模の大きい組織での仕事の進め方は参考になるところも多いです。
――出向する前と後で、ご自身はどう成長していると思いますか?
出向前はまだ社会人経験も浅く、自分の目の前にある業務で手一杯だったので、それが会社にどう寄与しているのか、まで考えられていなかったと思います。
出向して数年を経た今では、自分の携わるものがお客様の目に触れ、一つ一つが重なり、いずれauのイメージに繋がるんだという責任感を持てるようになりました。自分の仕事を点ではなく線で考えられるようになり、「会社として」の視点を意識するようになったことは成長だと思います。
この出向は間違いなく自分のキャリアの中でターニングポイントだと思うので、たくさん吸収して還元していけたらいいなと思っていますね。
2社を横断する日々。難しさの中に感じるやりがい、そしてキャリアと人生
プロミュージシャンとして活動しながらIT・Web業界で経験を積む。ポップカルチャーメディア「ナタリー」の営業部長、eスポーツ専門Webメディアの事業統括などを務めたのち2020年mediba入社。現在はKDDIへの兼務出向者としてVR/AR関連事業に従事。
――現在は兼務という形で出向されていますが、具体的にはmedibaとKDDIそれぞれでどんな業務をされていますか?
じつはそれぞれで業務が違うというわけではないんです。僕がおもに携わっているのは5G エンタメ事業のひとつである都市連動型メタバースプロジェクト。「バーチャル渋谷」が最も有名ですかね。そこでイベント企画やプロデュース、プロジェクトマネジメントなどを担当しています。
多くのステークホルダーがいる5Gエンタメ事業の中で、僕はmedibaとKDDIの2社を横断してやり取りします。出向の割合的にはKDDIが80%、medibaが20%ですが、実務でその割合を意識することはあまりないですね。
イメージしやすいように言うと、僕のデスクにはmediba支給のPCとKDDI支給のPCの2台が並んでいて、常に左右を行ったり来たりしている感じです(笑)。
――へえ! すごいですね。目が回りそう。
双方を連携させることで新たな価値を生み出していくのが自分の役割だと思っているので、なるべくシームレスなやり取りを意識しています。
――横断的なやり取りの中では、苦労することも多そうです。
そうですね。スケジュール管理には骨が折れます。
medibaとKDDIでは予定管理のツールが違うので、把握するのが大変で。どちらかに予定が入ったらもう片方にもそれを連動させておかないといけない。予定がパンパンになりがちですし、バッティングが起きると信頼関係にも関わってきます。これはいまだに慣れませんね。
あと少し違った視点の話だと、2社を連携させるというのは根本にありながら、組織によって違った役割を求められる場面があります。立場を変えて考えると、取るべきアクションが真逆になったりするんですね。
そうなったときにどれだけ両者が同じ方向を向けるように調整できるか、双方にとって良い形に収束させるにはどうしたらよいか、常に頭を2つ使う感覚で問答しながら進めています。これまでの経験の中でもかなり難しいことです。でも、だからこそエキサイティングだとポジティブに捉えていますね。
――お話しぶりからとても難しいというのが伝わってきます。こうした経験は、石川さんのキャリアにとってどんな影響があると思いますか?
KDDIの方針を反映しながらmedibaがものづくりをする、という関係性の中で、KDDI側に立って事業の起点となるような話ができるのはとても面白さがありますし、やりがいにつながっています。また、話題の最先端と言えるメタバース分野に携われていることも、僕の人生にとってかなりプラスで。
可能な限り新しい領域にチャレンジして、そこで得られた経験と知見を積み重ねることで 「自分らしさ」を作っていきたい、という風に考えています。
先のことはわかりませんが、10年後も今の経験を活かした仕事の仕方をしているはずだし、そうしていきたい。なので、出向という形で自分の経験値が増え、片方だけは見られなかった景色を見ていると思うと、とても良い時間を過ごせているなと思いますね。
転職せずとも違った会社で働けることは、その人のキャリアにとって大きな財産です。ただ、たとえ場所は違っても、目の前の仕事に全力で向き合い愚直に取り組んでいくことは変わらず大事なことなのだと再認識できました。
出向はmedibaに入社したからといって必ず機会があるわけではありませんが、誰しも可能性はあります。もしそのときが来たら、新たな飛躍のチャンスかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。あなたの「スキ」がmediba+編集部の励みになります!