「ブロックチェーンとは?」ゼロから学ぶ社内勉強会レポート
2019年7月30日、mediba8階のイベントスペースにて、社内向け「ブロックチェーン勉強会」が開催されました。ブロックチェーン事業に取り組む企業から4名が登壇し、基礎知識から事業の取り組みまでを話していただきました。
「なんかヤバいらしい」からイベント企画を推進
その前に、現在のmedibaではブロックチェーンとの直接的な接点が多くないなかで、なぜこのような勉強会が行われたのか。勉強会を企画・運営した広告ビジネス企画部の藤井に開催意図を聞いてみたところ……、
「最初は、『ブロックチェーン、なんかヤバいらしいぞ』っていうくらいの認識だったんですよ。実際に周りの友人からもおもしろい話が聞けたりしていて、そのなかでアーリーワークスさんとたまたま知り合えたんですね。そうしたら代表の小林さんと僕が関西人同士ということもあって盛り上がり。いつの間にか夢しか感じないように洗脳されました(笑)」とのこと。
続けて、「彼のような人たちに直接話を聞けば、ブロックチェーンに負のイメージを持っている人もそれを払拭できるのでは?さらにいろいろな事業に活かせるのでは?と思うようになったんです。できれば自分より頭のいい人がアイデアを思いついてmedibaにすごいビジネスができてくれれば最高だよなと思って企画しました」と語ってくれました。
そんな藤井の思惑に乗せられた……かどうかはわかりませんが、藤井と縁のあった小林氏を筆頭にブロックチェーンビジネスの最前線にいる4名が登壇してくれることとなりました。
それでは、各登壇者の講演内容からブロックチェーンの学びになる部分を抜粋してお届けいたします。
ブロックチェーンとは
小林氏の講演タイトルはズバリ「ブロックチェーンとは」。基礎の部分を話してもらいました。
そもそもブロックチェーンとは何かという問いに答えられる人は少ないのではないでしょうか。
小林氏の「できるだけ噛み砕いてわかりやすい」説明によると、ブロックチェーンとは「改ざんしにくい分散型のデータベース」とされています。データベースには、みなさんがお仕事で使われるエクセルで管理されているようなものも含まれます。
では、そこにブロックチェーンを導入すると何がいいのか?小林氏によると、4つのメリットがあるそうです。
メリット1:高い改ざん耐性
通常のデータベースが「ノートに鉛筆で書く」だとすると、ブロックチェーンは「ノートにボールペンで書く」と考えるとわかりやすいでしょうか。鉛筆で描いた場合、間違えたら消せますし、何度でも書き直すことができますが、ボールペンでは消せないので、二重線で取り消したりしますよね。つまり、基本的に上書きはできないし、消した字も読めるというのがメリットのひとつになります。
メリット2:ゼロダウンタイム
データが中央にあってそれをみんなが見に行く形だと、中央が止まると全体が止まる構造になります。ゲームのシステムメンテナンスなどがわかりやすいでしょうか。
ブロックチェーンの場合は全員が同じ情報を持っているというのが大前提なので、ひとつがダウンした場合でもサービスを継続(ゼロダウンタイム)することができるわけです。
メリット3:コストダウン
また、中央集権的なサーバーを置かないことでコストダウンにも繋がります。ただし、メリット2と3に関しては、厳密に言うとブロックチェーンというよりは“P2P”という技術にその機能が備わっているとのこと。
メリット4:情報の透明性の確保
一方がデータを所有する従来型の形でなく、双方向で持つことで透明性を担保できるということです。具体的には、ソーシャルゲームのガチャ不当表示問題などの対策にも繋がるなど、時代のニーズに合った情報提供の運用ができるのではと提言されました。
そしてこれらのメリットのどれが強いということではなく「全部スゴい!」のがブロックチェーンの魅力であり、技術の進歩により現状の課題を複合的に解決しうる最新技術だと語ってくれました。
独自開発のブロックチェーンも
しかし、それほどに「スゴい」ブロックチェーンもまだ浸透していないのには理由があります。それは、技術的なものを含む複数の課題があるからです。小林氏の登壇後半では、その部分にも切り込んでいました。
小林氏とアーリーワークスが、その技術的な側面の解決を狙って独自に設計、開発したブロックチェーン型データベースが『Grid Ledger System』です。これは、さきほど説明した4つのブロックチェーンのメリットを持ちながら、従来型データベースのメリットも併せ持つシステムです。
ブロックチェーン=仮想通貨のイメージがあるなど、世間的な逆風も認めつつ、それを覆すために多くの実証実験や共同開発でアーリーワークスやブロックチェーンの認知度を上げていく活動をしていきたいと登壇を締めくくりました。
STOについて
STO(Security Token Offering)とは「各国金融当局の法令に従った形で発行される『金融商品」をブロックチェーン化したもの」です。
これは今までの仮想通貨のイメージとは少し異なり、法令に従い発行された新しいカタチの証券なのですが、主なメリットを挙げると以下の5つ。
今まで証券化できなかったもの※が証券化されることで流動性が生まれ、資産価値が上昇
証券化する際のコストをトークン化する事で抑えることができる
海外の証券を購入しやすくなる
証券の所有権の移動が容易になる
小さい単位で購入することができる
※不動産、株、社債、国債など
これらに対する実際の動きとして高崎氏は、2019年7月に報じられた、野村証券がブロックチェーンによる社債管理の仕組みを開発中であるという事例を紹介。低コストでの小額社債管理がいままさに、実現されようとしているのですね。
また、medibaにとって身近な例として、例えばKDDIが多く所有する電波塔を証券化して、投資家を募るといったことも可能性として挙げられました。
その座組が何を生み出すかというと、投資資金により電波塔建設の資金調達が容易になり、それによるユーザーへのサービス向上といったプラスの効果が多く期待できるわけです。
STOの導入は単純な資金調達のほかに、企業の信頼性や認識度のアップ、さらに海外投資家の目に止まることでグローバル事業への展開も期待できるとしています。
なお、マーチャント社では実際に、自社で保有する24物件、約100億円相当の不動産でSTOを実施予定だそうです。
ステーブルコインについて
ステーブルコインとは「価格変動(ボラティリティ)の無いコイン、つまり価格が一定である仮想通貨」のことです。
渡邉氏によると、現在の仮想通貨の課題は大きく2点あり、ひとつは技術的な部分、そしてもうひとつが価格の不安定さだそうです。
例えば、送金された仮想通貨が翌日に下落してしまうというようなことがある限り、仮想通貨が決済手段となることは難しいですよね。それが解決されたものがステーブルコインです。有名なものとしては、Facebookが発表したLibra(リブラ)も、限定要素はありますがステーブルコインのひとつと言われています。
そして、ステーブルコインは価格を安定させる方式によって3種類に分かれます。
法定通貨担保型
ドルや円といった法定通貨とコインの価格を連動させることによって安定した価格を実現したステーブルコイン。Tether社のUSTDなどがこれに該当。
仮想通貨担保型
他の仮想通貨の預金によって価格を安定させているステーブルコイン。ボラティリティにより担保価値が変動するため、担保とする仮想通貨を余剰に預金している。
無担保型
法定通貨や仮想通貨など既存の通貨を担保とせず、通貨供給量を調整することで価値を安定させているステーブルコイン。
FacebookのLibraに関しては、加盟店の投資した資金が担保になっており、従来のステーブルコインと同じ特徴を持つと言えますが、現在のところはクレジットカードなどの代替であり、リアル決済手段としての位置付けとなっているそうです。技術的にも送金に特化した独自のプログラムによるブロックチェーンで構築され、従来のステーブルコインとは技術的な観点においても一線を画しているのだそう。
また、渡邉氏からは「もし、KDDI(グループ)がステーブルコインを発行したら……」というifストーリーも飛び出しました。
まず前提は、今後企業や自治体、銀行等が保有する債権を担保にステーブルコインを発行、運用する事例が増える未来があるとします。その上で通信料金、auでんき料金、JCOM料金、じぶん銀行の貸付債権など、多種多様の債権を保有するKDDIがこれらの債権を担保にステーブルコインを発行したとしたら……、世界のステーブルコインのマーケットシェアのトップを狙えるのではと語ってくれました。
KDDIの取り組み
中村氏からは、ブロックチェーンの基礎知識ではなく、KDDIでのブロックチェーンを活用した取り組みを紹介してもらいました。中村氏の取り組みに関しては2019年3月のプレスリリースに詳細が公開されていますので、ぜひそちらをご覧ください。 Ownership溢れるいち従業員の思いつきと、それを実現する行動がきっかけで始まった大規模な勉強会。いつか本当に、medibaに大きなビジネスをもたらすことになればいいですね。
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