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【ホンレコ!】4冊目『星を継ぐもの』

mediba社員が実際に本を読んで得た“学び・気づき・感動”を、自分と同じく求めているであろう方たちへお届け。本のレコメンド、略して『ホンレコ!』。

4冊目のレコメンダーは、編集部の江村が担当します。元スポーツ新聞記者の経歴を持ち、ジャンル問わぬ多読家。この記事を書くにあたり、「本の選定に3週間かかった」んだそう。悩みに悩んだ末に彼が選んだ本は、海外SFミステリーの傑作でした。


本日のおすすめ図書

『星を継ぐもの』
(著)ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社

こんなあなたに

  • SFを読んだことがない

  • 圧倒的なスケールの「嘘」を体験したい

  • 人類のルーツに思いをはせたい

レコメンダー
編集部 江村

どんな本?

月面で見つかった真紅の宇宙服の遺体。調査の結果、それは5万年以上も前のものだった。「チャーリー」と名付けられた遺体は、どう調べても現代人そのもの。進化論を根底から覆す事実を前に、主人公たちは謎を解明しようと奮闘。いくつもの仮説が立てられては却下され、最後に浮かび上がる衝撃の真実。読後に放心状態必至の一冊です。

ここがポイント!

常識を疑え!のレベルが壮大すぎる

本書はSF(サイエンス・フィクション)です。科学的な空想に基づく、虚構の世界の物語。主人公の物理学者・ハントが、うまが合わない生物学者・ダンチェッカーらと、試行錯誤しながら謎を解き明かしていきます。SFは読み手を選ぶジャンルかもしれませんが、大丈夫。作者が仕掛けた途方もないスケールの「嘘」に、どうぞ身を委ねてください。常識を疑え!との常套句がありますが、「そこは疑えないでしょ!」というポイントに、驚愕の「嘘」が仕組まれています。

読後に悟るタイトルの深い意味

核戦争やら宇宙船やらが登場し、中盤まではひたすら謎が謎を呼ぶ展開です。最終盤、ようやく真相解明!大団円!……と思いきや、それは偽りのフィナーレ。ただ一人、常識を疑い続けた生物学者によって、錯綜した謎が単純明解に解き明かされ、意外性に満ちたトゥルーエンドを迎えます。ラストの演説の一節を引用します。

「違う!」部屋の一隅から声が上がった。<中略>「やっぱりね!」ダンチェッカーはまたもや歯を見せて笑った。「きみは頭からそう決めてかかっているんだ…皆そう思い込んでいる。習慣的にそう思っているんだよ。人類は歴史を通じて、一貫してそう考えて来た。まあ、無理もないがね」

そして、この物語の「嘘」が明かされた時、『星を継ぐもの』のタイトルが頭を駆け巡り、その意味に衝撃を受けることになります。

読み終えて

「太古の昔に、本当にこういうことが起きていたのかも」と信じている自分がいました。圧倒的なリアリティで、 嘘を嘘でなくしてしまう。そこは作者の筆力の賜物であり、デビュー作だということに驚きを禁じ得ません。みなさまも、ぜひ、月の遺体の謎を解き明かす旅に出ることをおススメします。旅の終着点、最後の一文を読んだとき、時空を超えた生命の営みに目頭が熱くなることでしょう。

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