コロナ禍に誕生したお出かけメディア『カラデル』について担当者に聞く
KDDIのグループ会社として『auスマートパス』を中心に多くのメディア事業を展開しているmedibaが、2023年3月に新メディア『カラデル』を立ち上げました(現在はPoC※運用中)。
※ PoC:新たな手法やアイデアの実現可能性を確認する一連の検証作業のこと
『カラデル』とは一体どのようなメディアなのでしょうか?
それを知るために、今回はプロダクトマネージャーの高見 和弘(たかみ かずひろ)と編集担当の吉田 太(よしだ ふとし)にインタビュー。メディアの概要から企画始動のきっかけ、記事制作におけるこだわりなど幅広く聞いてきました。
独自の切り口で新しい体験・場所を発見できる「お出かけメディア」
ーーまずはじめに、『カラデル』とはどのようなメディアなのでしょうか?
高見:カラデルとは「見つかる広がる毎日へ」をキャッチコピーに、新しいコト・トキ・イミの発見を提供するお出かけメディアです。
20〜30代の女性をメインターゲットとして、オリジナル記事を毎月公開しています。
ーーなるほど。『カラデル』というサービス名は何が由来なのですか?
高見: "お出かけメディア"というのは読者に外出体験を想起させるもの。その外出体験に必要なアクションの「出る」という言葉と、様々な体験で日常がもっと豊かになるという意味合いで英語の「Colorful(カラフル)」を掛け合わせた造語です。
このメディアを通じて新しい体験・場所を知ってもらって、読者の日常をより豊かなものにしたいという想いを込めています。
ーーお出かけメディアは競合が多い分野に思えますが、カラデルの特徴はありますか?
高見:まだテストフェーズなので差別化するほどのリッチな機能などはありませんが、特徴は「活動」を軸にしたカテゴライズとタグ(ジャンル)の多さです。
活動を軸にする、というのは「場所」や「アクティビティ」など、すでに決まっている内容から探すのではなく、まだやりたいことが明確化していないユーザーに向けて、「目的」や「活動種別」などの行動の上位概念になる部分から、幅広い体験を探せるような設計にしました。
具体的には、「空き時間を楽しむ」「リフレッシュする」「趣味を広げる」「スキルアップする」の4つのカテゴリーとそれに紐づく各タグをつかって、活動をベースにお出かけ先を探すことができるようにしています。
タグには造語も多いですが、旅行やお出かけだけに留まらず、カルチャースクールやボランティア活動など幅広い体験の記事を揃えています。
公開中の約300本の記事はすべて「読者第一」で考えられている
ーー2023年3月にリリースされたとのことですが、これまでの累計記事本数は?
吉田:オリジナル記事でいうと、現時点で累計300本以上※になります。
※ 2023年10月上旬時点
ーー取材と執筆だけでなく、記事のテーマや内容も編集部の方々が決められてるとのことですが、どのように考えられていますか?
吉田:週1で1時間、時間を設けて企画会議を行っています。
会議といっても堅いものではなく、各自が記事の種になりそうなトピックやキーワードを共有して、それをベースに企画を固めていくようなディスカッションの場に近い雰囲気ですね。
ーー記事制作において、意識している点はありますか?
吉田:やっぱり読者を一番に意識しています。読者は何を求めているのか、そのためにはどういった企画・構成にするべきなのかを常に考えています。
また、多くの読者に読んでいただくという観点ではSEO※も意識して企画を考えていますね。
※SEO:検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略称。自社のWebサイトを検索エンジンの検索結果ページで上位表示させるための施策のことを指す。
ーーなるほど。制作を進めるなかで苦労する点はありますか?
吉田:こちらの都合で進められないことです。取材先のスケジュールに合わせる必要があるので、制作期間や記事の掲載日などの調整に苦労しますね
まだ『カラデル』という名前が知られていないこともあって、取材の許可取りをするときはメディアの概要説明からしなければいけないといった、新規メディアならではの大変さもあります。
ーー実際に吉田さんが取材に行かれたなかで、一番印象に残っている取材先はありますか?
吉田:「最強のパワースポット」として有名な、埼玉県秩父市にある三峯神社です。荘厳な佇まいとオーラを放つ随神門と拝殿に圧倒されてしまいました。
参拝後には物事に対する視座が自然と高くなったように感じましたね。
きっかけはリアル体験の重要性
ーーカラデルがmedibaの新規企画として始まった理由は何だったのでしょうか?
高見: コロナによって生活スタイルが変化していくなかで、リアル体験の重要性というのを改めて実感したのがきっかけです。
リモートワーク、Zoom飲み会、各種オンラインイベントなど、生活は一気にデジタルへシフトして便利になりましたが、一方で直接人と会って話したり、現地で見たり触れたりなど、リアル体験の価値が今まで以上に高まったと感じました。
企画当初は旅行・観光業界もコロナ影響でかなり縮小していたので、新たな価値提供を通じて業界の対策支援ができればとも考えました。
ーー企画を発表したとき、周りの反応はいかがでした?
高見:ものづくりに携わる企業として、medibaは新しい挑戦を歓迎してくれるので、上層部はもちろん周りの社員からもポジティブなリアクションが多かったです。
協力してくれる人も多く、プロジェクトメンバー以外にも、市場調査をしてくれる方、企画の中身を考えてくれる方もいて非常に助けられました。会社のカルチャーとして新しいことに挑戦しやすい環境であることを実感しました。
ーー実際に新規企画として動き始めて苦戦したことはありましたか?
高見:企画、調査、開発など基本の工程はすべて大変でしたが、なかでも苦戦したのは企画です。
順序としては、市場調査とユーザー調査の両軸からの課題を抽出し、その課題を解決するためのアイデアから始めました。さらに、思いつく限りのアイデアから他社との差別化や優位性を見出し、マネタイズを含めた実現性までを試行錯誤、という感じでしょうか。
最終的にはmedibaでノウハウやナレッジが蓄積されている「toC向けメディア」というのを方向に固めていきました。
ーー苦難を乗り越えリリースされたときの気持ちは?
高見:無事リリースされた安堵感はありましたが、それ以上にサービスがユーザーにちゃんと受け入れられるのか、ビジネスとして成立できるのかなど、不安の方が大きかったですね。
順調な滑り出しを維持して、これからも突き進む
ーーリリースから半年経った、現時点の進捗はいかがでしょうか?
高見:ありがたいことにかなり好調です。事業面においてはリリースから数か月で外部の企業様と協業契約を結ぶことができまして、中長期に向けたビジネススキームの構築ができました。
数値においても、SEO観点でGoogleから高い評価を得て検索上位に掲載される記事も多くなっており、初速としては申し分ない結果です。
吉田:編集部一丸となって、取材と執筆にたくさんの時間と体力をつかったからこそ、今の結果には喜びしかないですね。
もっと多くのユーザーに読んでもらうために、今後も精力的に取り組んでいきたいです。
ーーなお、現在の課題点はありますか?
高見:マネタイズのパターンが少ないことです。メインは広告収益ですが、今後の事業のスケールのためにも他のパターンを考えていく必要があると思っています。
併せて業界課題へのアプローチを行っていきたいので、先ほど話したような協業契約も含め、自社に閉じることなく検討していきたいと思っています。
ーーでは最後に、今後の展望をお願いします。
高見:情報があふれ、価値観も多様化する昨今で、自分の趣味嗜好に合った体験を見つけることが難しくなっていると感じています。カラデルはそんな課題解決を目指すべく、今後もメディア全体での改善を続けていきます。
みなさまがちょっとしたスキマ時間や休日前にカラデルを見て予定が決まるようになれば嬉しいです。
吉田:お出かけ先を悩んだときに、頭にすぐ浮かぶメディアになれたら嬉しいです。
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